有名な英語の詩を探しているとなぜか必ずシェイクスピアをおすすめされてうんざりしているあなたへ。わかります。もちろんシェイクスピアは偉大な詩人ですが日本の時代で言いますと安土桃山時代の人です。そんなに古い詩を探しているわけではないのです。
もちろんシェイクスピアの作品は時代を超えて愛されていて普遍的なものです。でも、僕らが知りたい「有名な英語の詩」ではありません。僕らはもっと今日的な詩人を知りたいのです。そういうわけで当ブログでは、アメリカの「現代」詩人を中心に紹介しています。
本記事では「現代」のアメリカ詩と詩人を紹介し、
- 海外の詩を読んでみたい
- 英語の簡単で短い詩を探している
- 英語の詩を英語学習に取り入れたい
このような方の要望に応えられれば幸いです。
最初に言い訳をさせて頂きますと「現代詩」は日本語においても難解です。意味がわからないもの、文法を意図的に壊している詩作品などたくさんあります。そのような「現代詩」を英語の専門家でもない僕が訳したり解釈したりしているので、たくさんの誤読、文法上の誤りがあることは何卒ご了承ください。
Poetry|『Anniversary』
『Anniversary』
I said you could snuggle. That doesn’t mean
your cold feet all over my dick.Someone should teach you how to act in bed.
What I think is you should
keep your extremities to yourself.Look what you did—
you made the cat move.But I didn’t want your hand there.
出典「Poetry Foundation」
I wanted your hand here.
You should pay attention to my feet.
You should picture them
the next time you see a hot fifteen year old.
Because there’s a lot more where those feet come from.
今回は『Anniversary』という英語の詩を紹介しました。
※今回の音声ファイルは出典先の「POETRY FOUNDATION」にはありません。
Introduce|作者紹介『Louise Glück』
Louise Glück(ルイーズ・グリュック)は、1943年にアメリカ合衆国のニューヨーク市で生まれた詩人・エッセイストです。ニューヨーク州立大学バッファロー校、コロンビア大学、スタンフォード大学で学びました。
1970年代に詩人としてのキャリアをスタートさせ、翌年にはデビュー作『Firstborn』を発表しました。その後、数多くの詩集を発表し、2003年には『The Seven Ages』でピューリッツァー賞を受賞、2020年にはノーベル文学賞も受賞しています。自伝的な作品やエッセイ、翻訳作品なども手がけ、その才能と業績は高く評価されています。
グリュックは、彼女独自の言葉遣いや詩の構成により、人間の喜びや苦しみ、神秘的な自然や時間の流れなどを描き出しています。また、自身の生い立ちや家族関係などを素材に詩を作ることが多い一方で、自分の詩が自伝と見なされることに嫌悪を抱いている面もあり、詩=作者と短絡的に見なすことはできないようです。
文体は第二詩集以降きわめて平易な口語になっています。二十世紀初めにエズラ・パウンドやウィリアム・カーロス・ウィリアムズなどモダニズムの詩人たちによって生み出され、現在の主流となっている口語自由詩体で書かれています。
Interpretations|詩の特徴
詩の特徴:口語体の多用
この詩にはいくつかの詩的な技法が使用されています。例えば、言葉の選択においては、口語的な表現が多用され、会話をそのまま引用しているような印象を与えます。
また対話形式をとることで、会話のなかでの微妙なニュアンスや感情が表現されています。詩の構造においては、改行やインデントが意図的に使われており、詩のリズムや韻律を強調する役割があります。
Translation|詩の翻訳
段落をひとつ落としているところから、語り手が男性から女性に変わっていると読みました。また可能な限り、日本語での会話調になるようにくだけた表現にしました。
”hot fifteen year old” を「女子高生」と訳しました。おそらく“hot fifteen year old”には多少セクシーなニュアンスが含まれているのだと感じます。「15歳」という日本語ではその雰囲気は出ないので「女子高生」を選びました。僕が男性だからかもしれませんし偏見かもしれませんが、「女子高生」はどこかそういうニュアンスをまとった言葉だな、と逆説的に気づかされました。
”hot fifteen year old”については後ほど深堀していきます。
参考記事:『詩のトリセツ』感想。詩を読むコツと書くコツがわかるようになる。
覚えておきたいフレーズ「pay attention to」の意味は?
ビジネスあるいは日々のコミュニケーションにおいて覚えておきたいフレーズ、役立ちそうなフレーズをピックアップしています。今回の詩からは「pay attention to」を取り上げました。
「pay attention to」は「~に注意を払う」という意味で、特定の対象や情報に意識的に注意を向けるという意味の英語表現です。”pay”は動詞であり「支払う」という意味が一般的ですが、このフレーズでは「注意を向ける」という意味で使用されます。
“Please pay attention to the teacher’s instructions during the class.”
「授業中は先生の指示に注意を払ってください」
“I couldn’t pay attention to the movie because of the loud noises outside.”
「外の大きな音のせいで映画に集中できませんでした」
「pay attention to」は注意を払うべき対象や状況を強調する際に使われる一般的なフレーズです。
「hot fifteen year old」の意味は?
「Hot fifteen year old」の日本語訳は「魅力的な15歳の子供」や「ホットな15歳」になるかもしれませんが、この表現は英語圏で使用される際に注意が必要な表現です。このフレーズにはいくつかのニュアンスが含まれています。
「Hot」の意味
「Hot」は一般的に「セクシー」「魅力的」といった肯定的な外見や魅力を指す言葉です。しかし、未成年者にこのような表現を使うことは、その者の性的な魅力を強調したり、不適切な意味を含んでいる可能性があります。
年齢の指定
Fifteen year oldは年齢が15歳のことを指します。未成年者であることが強調されています。
詩における解釈
状況によっては純粋な外見の美しさを指している可能性もありますが、一方で適切でない性的な意味合いを持つ可能性もあります。今回の詩においては後者でしょう。
難解な単語
僕自身の経験ではあまり見聞きしたことがない単語ですが、詩を理解する上では必要な単語をリストアップしています。これを機に覚えたいと思います。
snuggle: 抱き合う、もたれかかる
extremities: 極端、手足の先
The end|詩と英語学習
さて実は詩と英語学習、特にシャドーイングとはとても相性が良いのです。ここでシャドーイング未経験者に説明をさせて頂きますと、シャドーイングとは英語の音声を聞きながら、すぐ後を音声の真似をしながら復唱していく勉強方法です。
聞こえてくる音声の後を影のようについていくところからシャドーイング(shadowing)と呼ばれています。負荷は高く難易度は高い学習方法ですが、正しく実践すれば得られる効果もまた大きいとされています。そんな英語学習方法の1つであるシャドーイングと英語の詩の相性が良い理由は以下の通りです。
単語が覚えやすい
英詩はとくに韻を大事にします。似たような発音の単語をまとめて覚えることができます。また日常生活の中で使用する単語を学ぶことができます。
発音の強弱、イントネーションが学べる
英詩で最も重要なのはリズムとされています。 そしてそのリズムを形成するのが発音の弱強やイントネーションです。音声を繰り返し聞きシャドーイングを行うことによって発音やイントネーションが身につきます。
無料で聞くことができる
以下の英語サイトでは英詩の音声ファイルを聞くことができます。
(※すべての詩ではありません)
「Poetry Foundation」
「lyrikline」
英詩で日常では言葉にすることが難しい思いや人生の教訓、言葉の表現の豊かさを味わい、同時に英語のシャドーイングをしてスピーキング力や発音も身につける。本記事がそんな最高に効率の良い勉強方法に役立てられたなら幸いです。
シャドーイングは正しく実践しないと得られる効果は小さくなってしまいますので、正しい実践方法にいつきましては下記の記事を参考にしてください。
>>シャドーイングならスタディサプリのビジネス英語!機能とやり方まで徹底解説
ルイーズ・グリュックと同様にウィリアム・カーロス・ウィリアムズに影響されて口語自由詩体で詩を書いている人にロラン・パジェットもいます。よろしければこちらもどうぞ。
英語の詩|おすすめのアメリカ現代詩人の紹介『Ron Padgett』