【詩の本】『詩のトリセツ』感想。詩を読むコツと書くコツがわかるようになる。

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詩・英詩

詩って何でむずかしいんでしょう。ときどき全然わからないものがある。それで何かヒントはないものかと思って識者の書いた解説なり感想なりを探してみる。すると輪をかけて難しい文章に出くわす。やーめたってなる。

詩をわかってる風な人たちは言う。「自分の感じたままでいい」と。それはわかってる。とは言うものの何か詩を読むコツや基本はないものか。そう思っているあなた。ここにあります。そんな疑問に答えてくれるのが本書です。

  • 詩って何でむずかしいのかが知りたい
  • 詩を読むコツが知りたい
  • 詩を書くコツが知りたい


そんなあなたにめちゃくちゃおすすめです。本記事を参考に是非とも読んでもらいたいです。

この記事を書いた人「大人C」

  • 詩作をはじめて6年目
  • 現代詩手帖などに投稿し入選、佳作あり
  • 日本語教師のボランティア活動を通して日本語を勉強
  • 夢は世界を旅する詩人ブロガー

『詩のトリセツ』

著者:小林 真大
出版社:五月書房新社
発行日:2021/08/26

本書の構成

本書の目次は以下の通りです。

  • 第1章『詩とは何か』
  • 第2章『詩のリズム』
  • 第3章『詩のイメージ』
  • 第4章『詩の構造』
  • 第5章『批評の実践例Ⅰ』
  • 第6章『批評の実践例Ⅱ』

第1章では詩とは何かについて語られます。ここで「詩ってだからむずかしい」を超シンプルに解説してくれます。

第2~4章では詩の基本とも言えるポイントの解説があり、第5~6章で解説されたポイントが実際に詩の中でどのように活用されているかを丁寧に読み解いていきます。

尚、第4章の後半部にはいわゆる「レトリック」に関する様々な手法の説明と例があります。詩を書く側にとっても改めて意識的に手法を学ぶことができます。

本書の特徴は「とにかくわかりやすい」です。

だいたい詩に関する本って難しいものです。でも安心してください本書は最初から最後までめちゃくちゃ分かりやすいです。

その理由は難しいことばが使われていないのと、あったとしても説明と例がひとつひとつ丁寧に挙げあげられていて説明してくれるからです。

簡単で分かりやすいと思ったのは最初だけじゃん!
なんてことはないので大丈夫。

分量としては4~5時間くらいで読み終えられます。また詩を読むコツを学んだ後に「実践編」があることも大きな特徴です。

▶当サイトではTED動画というスピーチ番組の紹介もしています。その中で特に「読書」についてまとめた記事がありますので「詩はイマイチだけど読書が好き」という方にはおすすめです。

あなたにとって読書とは何ですか?TEDが語る読書おすすめ3選!-Part1-

結局のところ、詩はむずかしいの?

はい。むずかしいのだと思います。ごめんなさい。本書を読んだからと言って「詩って、ちょー楽勝。作者の意図を百ぱー理解したわ」とはなりません、残念ながら。

ではなぜむずかしいのかと言うとそのひとつにルールを知らないからだと思います

たとえば、少年サッカーに例えてみます。サッカーは基本的にはボールさえあればどこでもできます。ボールを相手ゴールに入れると言う超シンプルなスポーツです。

これは詩も同じです。紙とペンさえあれば誰でもどこでも出来る。なんだったら今だとぺんすら必要ない。スマホさえあればできる。書けばいい。それだけです。

子ども達は夢中になってボールを追いかけ楽しむことが出来るでしょう。理解すべきルールはボールを手で触らない、それくらいのものです。そこに隣町から強豪「現代詩チーム」がやってきて試合をすることになったとします。

すると「現代詩チーム」はワンツーパス、サイド攻撃、カウンターなど多彩な技術や戦術を使って攻めてきます。守ってはオフサイドトラップを駆使し子ども達はわけがわからず反則をとられ、手も足も出せず負けてしまいます。

なんか全然ボールが取れないし、攻めれないし、どう守ったらいいかもわからない。サッカーって面白くないな、そう思ってしまいます。

でも、それはルールや戦術を知らないだけです。知ってしまえば、誰でもできる、真似もできる、理解もできる、だから対応もできる、そういうものだと思います。

詩も同じなのだと思います。言葉や詩にも実は基本的なルールがある。それさえ知れば、まったく手も足も出なかった言葉や詩に対して作者の意図、詩が表現しているもの、しようとしているもの、そういうものを読み解く手がかりになるのだと思います。

そして本書が教えてくれるのは、まさにこの基本ルールなのです

▶こちらの本も大変読みやすい詩の初心者に向けて書かれたものです。僕の詩の先生が書きました。
『これから詩を読み、書くひとのための詩の教室』を買うべき理由。

詩や言葉のこの基本ルールが面白い!大人C的、3選。

「詩、言葉にはリズムがある」

「0120」これを読んでみてください。「ゼロ・イチ・二ー・ゼロ」こういう風に読みませんでしたか?ではなぜ「二ー」と音を伸ばしたのでしょう? 「二」で良かったのではないですか?これは無意識に日本語の読みやすいリズムに合わせているのです。言葉にはこのようなリズムが備わっている。当然、それは詩にも影響しています。

「詩、言葉にはイメージがある」

詩とは言葉と言葉の組み合わせである、それは詩を書いたり読んだりしていると意識するようになるものです。さらにもう一歩踏み込んでみると、言葉にはイメージがあって、そのイメージの組み合わせを楽しむ、あるいはイメージをずらしてみる、イメージを重ね合わせて新たなイメージを生み出してみる、実に色んなことが可能なのです。

「詩、言葉の構造」

私の書いているものは「詩」なのだろうか。詩の雑誌に掲載されている詩と比較するとなんだか違う気がする。もしかしたら詩ではないのかもしれない。じゃあ、どうなっていれば「詩」として認定されるのだろう。たとえば短歌のように決まった形式があるんじゃないだろうか。そんな疑問を感じたことありませんか?

これ、結論を言うと今のところ「詩とはこういうものだ」というのはないそうです。

つまり書いた人が「これは詩だ」と言えば詩ですし、「これは詩じゃない」と言えば詩じゃない
ってことになります。

なーんだ、まだ誰も知らないんじゃん、ってことです。

▶当サイトではTEDというスピーチ番組を扱っています。その中で特に「詩人」がスピーチしたものを集めた記事がありますので詩に興味がでた方は是非読んでみてください。

詩人は何を語るのか?海外の詩人を知ろう!おすすめスピーチ3選!

まとめ

本書を読むと詩がなぜむずかしいと言われるのかが理解できるようになり、詩を読むコツを掴むことが出来ます

またここで言っておきたいのは私が本記事に書いた「ルール」は必ずしも正しいわけではなく、あくまでひとつの視点にすぎないということです。

本書を読み、まずはひとつのルールを知る。そしてさらに詩を読んだり理解したりしながら「自分自身の視点」を獲得していく。そのきっかけとなることは間違いありません。是非手にとって読んでみてください。

▶今回は『詩のトリセツ』を紹介しました。

▶詩に関する本を読むと今度は自分で詩を書いてみたくなります。そしてその詩を誰かに読んでもらいたくなります。そういう場合はどうしたらいいのでしょう?答えはこちらです。

詩の投稿ってどこにするの?詩の投稿欄おすすめ6選!まずは代表的な投稿先を見てみよう。