有名な英語の詩を探しているとなぜか必ずシェイクスピアをおすすめされてうんざりしているあなたへ。わかります。もちろんシェイクスピアは偉大な詩人ですが日本の時代で言いますと安土桃山時代の人です。ちょっと古すぎるのです。
もちろんシェイクスピアの作品は時代を超えて愛されていて普遍的なものです。でも、僕らが知りたい「有名な英語の詩」ではありません。僕らはもっと今日的な詩人を知りたいのです。そういうわけで当ブログでは、アメリカの「現代」詩人を中心に紹介しています。
本記事では「現代」のアメリカ詩と詩人を紹介し、
- 海外の詩を読んでみたい
- 英語の詩を英語学習に取り入れたい
- 英語の短い詩を探している
このような方の要望に応えられれば幸いです。
最初に言い訳をさせて頂きますと「現代詩」は日本語においても難解です。意味がわからないもの、文法を意図的に壊している詩作品などたくさんあります。そのような「現代詩」を英語の専門家でもない僕が訳したり解釈したりしているので、たくさんの誤読、文法上の誤りがあることは何卒ご了承ください。
Poetry|The Good Life
『The Good Life』
When some people talk about money
出典「Poetry Foundation」
They speak as if it were a mysterious lover
Who went out to buy milk and never
Came back, and it makes me nostalgic
For the years I lived on coffee and bread,
Hungry all the time, walking to work on payday
Like a woman journeying for water
From a village without a well, then living
One or two nights like everyone else
On roast chicken and red wine.
今回は『The Good Life』という詩を紹介しました。
※今回の詩は出典先の「POETRY FOUNDATION」には音声ファイルがありません。
Introduce|作者紹介『Tracy K. Smith』
Tracy K. Smithは、アメリカの詩人で1972年4月16日にマサチューセッツ州フェアフィールドで生まれました。彼女はハーバード大学とコロンビア大学で英文学の学位を取得し、その後、プリンストン大学で教鞭をとっています。
最初の詩集『The Body’s Question』は、2002年に出版され、2004年にはケイ・ボイス・アナンの詩集賞を受賞しました。その後、『Duende』(2007年)、『Life on Mars』(2011年)で詩集賞を受賞しています。最新の詩集は『Wade in the Water』(2018年)で、多くの批評家から高く評価されています。
2017年から2019年までアメリカ合衆国のポエトーリ・ローレイト(詩人勅任)を務めました。また、多くの文学賞やフェローシップを受賞しており、現在はプリンストン大学の教授として教えています。
アメリカ国内では高い評価を受けている詩人の一人ですが、日本ではあまり知られていません。彼女の作品は、翻訳されたものが一部存在しますが、日本においては比較的マイナーな存在です。しかし、彼女の作品は国際的な評価があり、今後も注目され続けることが予想されます。
Wade in the Water: Poems (English Edition)
▶まだまだ他の海外詩人を知りたいあなたへ。こんな詩人さんはいかがでしょうか?
おすすめのアメリカ現代詩人の紹介『Sharon Olds』
Interpretations|詩の特徴
メタファーの使用:詩では、「お金が消えた恋人」という比喩を用いて、お金の不在を表現しています。また、「井戸のない村から水を求める女性」という比喩を使って、給料日に仕事に向かう人々を描写しています。
イマジェリーの使用:この詩では、飢えに苦しむ人々のイメージが繰り返し表現されることによって、読者に深い印象を与えるようになっていると考えられます。
個人的な体験:詩人が自身の経験に基づいて詩を書いているため、詩には作者のパーソナルなスタイルが反映されています。
短い行:詩の行が短いことで、詩のリズムがより明確になっています。
構成の統一感:詩の各節は、主題に合わせてうまく構成され、読者に統一感を与えています。
▶詩の解釈方法は詩人の数だけあります。でも基本と呼べるものも確かに存在します。そんな詩の読み方が学べる本の紹介記事を書いていますので読んでいただければ幸いです。
『詩のトリセツ』感想。詩を読むコツと書くコツがわかるようになる。
Translation|詩の翻訳(最果タヒさん風に)
詩を何度も読みながらなんとなく最果タヒさん風な詩に思えてきましたので「最果タヒ」さんを意識しながら、かなりの意訳をして訳してみました。
単語だけ見ますとどれもすごく簡単なものばかりです。この素材だけで「詩」というものが作られることに驚きを感じます。これは詩を創作するものとしては見習うべきポイントです。
僕は英語の専門家ではありませんし、翻訳家でもありません。英単語、英文解釈に誤訳があると思いますがご了承ください。あくまで私なりの解釈で単語、詩の翻訳をしています。
「私なら、こういう風に訳すのに」そんな感想を持って詩と英語に取組んでもらえたら嬉しいです。
覚えておきたいフレーズ「makes me nostalgic」の意味は?
ビジネスあるいは日々のコミュニケーションにおいて覚えておきたいフレーズ、役立ちそうなフレーズをピックアップしています。今回の詩からは「makes me nostalgic」を取り上げました。
「makes me nostalgic」は、英語で「私を懐かしい気持ちにさせる」という意味の表現です。これは特定のものや状況が過去の思い出や経験に触れることから、感情的なノスタルジア(過去への懐かしさや思い出)を引き起こすという意味になります。
2つばかり例文を挙げましょう。
“Watching old family videos makes me nostalgic for the times when we were all together.”
「昔の家族のビデオを見ると、皆が一緒にいた頃を思い出して懐かしい気持ちになります」
“Listening to that song makes me nostalgic about my high school days.”
「あの曲を聴くと、高校時代を懐かしく思い出してしまいます」
知っておきたい単語
今回の詩からは「payday」をピックアップしました。すぐに出てきそうで出てこない単語ですよね。
payday:給料日、支払い日
The end|詩と英語学習
さて実は詩と英語学習、特にシャドーイングとはとても相性が良いのです。ここでシャドーイング未経験者に説明をさせて頂きますと、シャドーイングとは英語の音声を聞きながら、すぐ後を音声の真似をしながら復唱していく勉強方法です。聞こえてくる音声の後を影のようについていくところからシャドーイング(shadowing)と呼ばれています。負荷は高く難易度は高い学習方法ですが、正しく実践すれば得られる効果もまた大きいとされています。
そんな英語学習方法の1つであるシャドーイングと英語の詩の相性が良い理由は以下の通りです。
単語が覚えやすい
英詩はとくに韻を大事にします。似たような発音の単語をまとめて覚えることができます。また日常生活の中で使用する単語を学ぶことができます。
発音の強弱、イントネーションが学べる
英詩で最も重要なのはリズムとされています。 そしてそのリズムを形成するのが発音の弱強やイントネーションです。音声を繰り返し聞きシャドーイングを行うことによって発音やイントネーションが身につきます。
無料で聞くことができる
以下の英語サイトでは英詩の音声ファイルを聞くことができます。
(※すべての詩ではありません)
「Poetry Foundation」
「lyrikline」
英詩で日常では言葉にすることが難しい思いや人生の教訓、言葉の表現の豊かさを味わい、同時に英語のシャドーイングをしてスピーキング力や発音も身につける。本記事がそんな最高に効率の良い勉強方法に役立てられたなら幸いです。
▶シャドーイングは正しく実践しないと得られる効果は小さくなってしまいますので、正しい実践方法にいつきましては下記の記事を参考にしてください。
シャドーイング初心者が実践している学習方法と効果や感想について。
▶当ブログではTED動画の紹介をしています。特に海外詩人さんがスピーチした動画を集めた記事があるのでおすすめです。
詩人は何を語るのか?海外の詩人を知ろう!おすすめスピーチ3選!