英語の詩|おすすめのアメリカ現代詩人の紹介『Sharon Olds』

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詩・英詩

有名な英語の詩を探しているとなぜか必ずシェイクスピアをおすすめされてうんざりしているあなたへ。わかります。もちろんシェイクスピアは偉大な詩人ですが日本の時代で言いますと安土桃山時代の人です。さすがにちょっと古いです。

もちろんシェイクスピアの作品は時代を超えて愛されていて普遍的なものです。でも、僕らが知りたい「有名な英語の詩」ではありません。僕らはもっと今日的な詩人を知りたいのです。そういうわけで当ブログでは、アメリカの「現代」詩人を中心に紹介しています。

本記事では「現代」のアメリカ詩と詩人を紹介し、

  • 海外の詩を読んでみたい
  • 英語の詩を英語学習に取り入れたい
  • 英語の短い詩を探している

このような方の要望に応えられれば幸いです。

最初に言い訳をさせて頂きますと「現代詩」は日本語においても難解です。意味がわからないもの、文法を意図的に壊している詩作品などたくさんあります。そのような「現代詩」を英語の専門家でもない僕が訳したり解釈したりしているので、たくさんの誤読、文法上の誤りがあることは何卒ご了承ください。

About me
  • 海外事業部マネージャーとして海外10か国以上へ出張
  • Toeic 800点以上
  • 詩歴6年目、現代詩手帖などに投稿し入選、佳作
  • 好きな詩人は、鈴木志郎康、松下育男、最果タヒ、石松佳、柳本々々、竹中優子

Poetry|His Stillness

『His Stillness』

The doctor said to my father, “You asked me
to tell you when nothing more could be done.
That’s what I’m telling you now.” My father
sat quite still, as he always did,
especially not moving his eyes. I had thought
he would rave if he understood he would die,
wave his arms and cry out. He sat up,
thin, and clean, in his clean gown,
like a holy man. The doctor said,
“There are things we can do which might give you time,
but we cannot cure you.” My father said,
“Thank you.” And he sat, motionless, alone,
with the dignity of a foreign leader.
I sat beside him. This was my father.
He had known he was mortal. I had feared they would have to
tie him down. I had not remembered
he had always held still and kept quiet to bear things,
the liquor a way to keep still. I had not
known him. My father had dignity. At the
end of his life his life began
to wake in me.

出典「Poetry Foundation」

今回は『His Stillness』という詩を紹介しました。
※今回の詩は出典先の「POETRY FOUNDATION」には音声ファイルがありません。

同じ作者で『The Month of June: 13 1/2』という詩には音声ファイルがありました。
リスニングやシャドーイングの練習に役立ててください。

Introduce|作者紹介『Sharon Olds』

出典:Sharon Olds

シャロン・オールズ(Sharon Olds)は、1942年にニューヨーク市で生まれでアメリカ合衆国の詩人です。スタンフォード大学、コロンビア大学で学び、詩作品を多数発表しています。

1979年に最初の詩集『Satan Says』を出版し、以後、『The Dead and the Living』、『The Gold Cell』、『Strike Sparks: Selected Poems 1980-2002』などの詩集を発表しています。これらの作品により、オールズは多くの文学賞を受賞しており、その中にはピューリッツァー賞や全米図書賞ファイナリストなどが含まれています。

シャロン・オールズの詩は、家族、性、人間関係、女性の体験などに焦点を当てており、率直で感情的な表現が特徴的です。現代アメリカ詩の代表的な詩人として高く評価されています。


Strike Sparks: Selected Poems, 1980-2002 (English Edition)

▶他の海外詩人が気になってきたあなたは是非「Ron Pagget」をどうぞ。
おすすめのアメリカ現代詩人の紹介『Ron Padgett』

Interpretations|詩の特徴

内省的:この詩は、父親が死に直面する中で、主人公の感情や思考に焦点を当てた内省的な詩です。父親と主人公の関係、父親の死に向かっての心理的変化など、内面的なものに重点が置かれています。

人間的:詩は、父親が死に直面したときの人間の尊厳、強さを描写しています。父親が自分の死に向き合い、静かに受け入れる様子は彼の人間的な美徳や、生きている間に築き上げてきたであろう尊厳を表しています。

シンプルな言葉:この詩は、シンプルで直接的な言葉で書かれています。詩の中で使用される言葉や文法は簡単に理解できるものです。詩の出来事、それ自体が伝えたいことで、それが詩になっています。あえて詩的な表現が排除されています。

時制の変化:この詩は過去形と現在形が組み合わせて使われており、父親が死ぬことを過去形で述べつつ、父親が持つ人間的な美徳について現在形で語っています。これは父親の死と同時に、主人公の内面的成長を示すために使用されています。

Translation|詩の翻訳

『父の静けさ』

医者は父に言った。

「もし何もできない状態になったら教えてほしいと私に約束させたことを覚えてます?
今、私はあのときの約束を果たさなければいけないことになったんです」

父はいつもと同じように何も言わず座っていた。
目さえ動かさなかった。
わたしは死期を悟った父はもっと取り乱すのだと思っていた。
突っ伏して泣き出すのだと思っていた。
でもそうじゃなかった。
ただ無心で立ち上がっただけだった。
病衣がすごく白く見えた。

医者は、はっきとりと言った。

「延命治療はできますがもう治る見込みはありません」

父は身じろぎもせず静かに座り直し、ありがとうございますと言った。
わたしは父の隣に座っていた。
これがわたしの父だっただろうか。
父は自分が「死ぬ」ということをわかっていた。
わたしは父がみんなから取り抑えられることになるんだってことばかりを心配してた。
だからそのときわたしは、
父はいつも静かにお酒を飲み、
ただじっと耐え忍ぶタイプの人間だということを忘れていた。
わたしは父のことを全然わかっていなかった。
父が死を目の前にして、やっと
わたしは父のことをわかろうとしはじめていた。

実はこの詩、本日現在(2023年4月2日)、現在の僕の境遇と、この詩の主人公は非常に近いものがあります。少しキザに言うなら、まるで僕が書くべき詩であったように思えてきます。

たぶん、この詩の翻訳は原文とはずれているでしょう。それは僕の私情が入り込んでいるからです。

※筆者は英語の専門家ではありません。翻訳家でもありません。英単語、英文解釈に誤訳があるかもしれませんがご了承ください。あくまで私なりの解釈で単語、詩の翻訳をしています。

▶日本の詩について学びたくなったあなたへはこちらの書籍がおすすめです。
『詩のトリセツ』感想。詩を読むコツと書くコツがわかるようになる。

覚えておきたいフレーズ「sit beside」の意味は?

ビジネスあるいは日々のコミュニケーションにおいて覚えておきたいフレーズ、役立ちそうなフレーズをピックアップしています。今回の詩からは言えそうで言えない「sit beside」を取り上げました。

「sit beside」は、英語で「隣に座る」という意味の表現です。簡単そうでこういう表現が案外すぐに出てこないものです。これを機に是非マスターしましょう。

“She likes to sit beside her best friend in class.”

「彼女はクラスで親友の隣に座るのが好きです」

“Could you please move over a bit so I can sit beside you?”

「ちょっと移動してくれますか? あなたの隣に座りたいんです」

“The cat always prefers to sit beside the window.”

「その猫はいつも窓の隣に座るのが好きです」

このフレーズは、座る位置を指定する時に使われ、コミュニケーションや関係性を表すのに役立ちます。

難解な単語

僕自身の経験ではあまり耳にしたことがない単語ですが、詩を理解する上では必要な単語をリストアップしています。これを機に覚えたいと思います。

bear: 我慢する、耐える、熊
cure: 治療、治療法
rave: 熱狂的な話し方、大騒ぎする
holy man: 聖者、聖人
motionless: 動かない、不動の
dignity: 尊厳、威厳
mortal: 死ぬ運命にある、致命的な

The end|詩と英語学習

さて実は詩と英語学習、特にシャドーイングとはとても相性が良いのです。ここでシャドーイング未経験者に説明をさせて頂きますと、シャドーイングとは英語の音声を聞きながら、すぐ後を音声の真似をしながら復唱していく勉強方法です。聞こえてくる音声の後を影のようについていくところからシャドーイング(shadowing)と呼ばれています。負荷は高く難易度は高い学習方法ですが、正しく実践すれば得られる効果もまた大きいとされています。

そんな英語学習方法の1つであるシャドーイングと英語の詩の相性が良い理由は以下の通りです。

単語が覚えやすい

英詩はとくに韻を大事にします。似たような発音の単語をまとめて覚えることができます。また日常生活の中で使用する単語を学ぶことができます。

発音の強弱、イントネーションが学べる

英詩で最も重要なのはリズムとされています。 そしてそのリズムを形成するのが発音の弱強やイントネーションです。音声を繰り返し聞きシャドーイングを行うことによって発音やイントネーションが身につきます。

無料で聞くことができる

以下の英語サイトでは英詩の音声ファイルを聞くことができます。
(※すべての詩ではありません)

Poetry Foundation
lyrikline

英詩で日常では言葉にすることが難しい思いや人生の教訓、言葉の表現の豊かさを味わい、同時に英語のシャドーイングをしてスピーキング力や発音も身につける。本記事がそんな最高に効率の良い勉強方法に役立てられたなら幸いです。

▶シャドーイングは正しく実践しないと得られる効果は小さくなってしまいますので、正しい実践方法にいつきましては下記の記事を参考にしてください。

参考記事:【英語学習】シャドーイング初心者が実践している学習方法と効果や感想について。

▶海外詩人によるスピーチを集めた記事がこちらになります。
詩人は何を語るのか?海外の詩人を知ろう!おすすめスピーチ3選!