英語の詩|おすすめのアメリカ現代詩人の紹介『Terrance Hayes』

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詩・英詩

英語の詩にはかっこよくておしゃれなものがたくさんあります。もし英語の勉強をしているならば、詩を英語の勉強に取り入れないのはもったいないので是非取り入れてみてください。

本記事では、

  • 海外の詩を読んでみたい
  • 英語の詩を英語学習に取り入れたい
  • 英語の短い詩を探している

このような方に向けて英詩の紹介をしています。

詩は日本だと少し揶揄されてポエムと呼ばれたり、難解で良く分からない、などと文学における地位は低いものですが、海外ではむしろ逆で詩は文学の中心であり芸術としても格上の扱いなんだそうです。

最近では2020年のノーベル文学賞受賞者がアメリカの女性詩人ルイーズ・グリュックであったり、アメリカのバイデン大統領就任式で無名の女性黒人詩人アマンダ・ゴーマンが自作の詩を朗読したことなどは、そのことを顕著に表しています。

僕自身も詩を読んだり詩作をしています。詩の文学における地位はどちらでも良いことですが詩は本当にかっこよくておしゃれなんです。そして言葉を最も敏感に扱っている芸術でもあります。英語の勉強を通して、あるいは単純な興味として、少しでも詩の良さが伝われば幸いです。

About me
  • 海外事業部マネージャーとして海外10か国以上へ出張
  • Toeic 800点以上
  • 詩歴6年目、現代詩手帖などに投稿し入選、佳作
  • 好きな詩人は、鈴木志郎康、松下育男、最果タヒ、石松佳、柳本々々、竹中優子

Poetry|Cocktails with Orpheus

『Cocktails with Orpheus』

After dark, the bar full of women part of me loves—the part that stood
naked outside the window of Miss Geneva, recent divorcée who owned
a gun, O Miss Geneva where are you now—Orpheus says she did

not perish, she was not turned to ash in the brutal light, she found
a good job, she made good money, she had her own insurance and
a house, she was a decent wife. I know descent lives in the word

decent. The bar noise makes a kind of silence. When Orpheus hands
me his sunglasses, I see how fire changes everything. In the mind
I am behind a woman whose skirt is hiked above her hips, as bound

as touch permits, saying don’t forget me when I become the liquid
out of which names are born, salt-milk, milk-sweet and animal-made.

I want to be a human above the body, uprooted and right, a fold
of pleas released, but I am a black wound, what’s left of the deed.

出典:「Poetry Foundation」

今回は『Cocktails with Orpheus』という詩を紹介しました。
※出典先の「POETRY FOUNDATION」には作者による詩の朗読の音声ファイルがあります。リスニングやシャドーイングの練習に役立ててください。

Introduce|作者紹介『Terrance Hayes』

Terrance Hayesは、1971年にアメリカ合衆国のコロンバスに生まれた詩人で、現代アメリカ詩壇の重要人物の一人です。1990年代半ばに、アメリカの詩人で教育者であるデリック・ウォルコットに出会い、彼の指導のもとで詩作を始めました。

1999年に初めての詩集『Muscular Music』を出版し、全米図書賞を受賞し、その後も2001年に『Hip Logic』、2010年に『Lighthead』、2015年に『How to Be Drawn』、2018年に『American Sonnets for My Past and Future Assassin』など、多くの詩集を出版しています。

彼の作品は、アフリカ系アメリカ人の経験や文化に焦点を当て、自己と社会、過去と現在、身体と言語などの対比を描き出すことを特徴としています。現在、ニューヨーク大学のクリエイティブライティングの教授を務めており、2014年にはマッカーサー・フェローシップを受賞しています。また、彼の作品は数多くの賞に輝いており、アメリカ詩壇の重要な存在として高く評価されています。


Lighthead: Poems (Penguin Poets) (English Edition)

▶他の海外詩人が気になったあなたはこちらへどうぞ。
おすすめのアメリカ現代詩人の紹介『Sharon Olds』

Interpretations|詩の解釈

文体:詩の文体は自由詩であり伝統的な韻律やリズムにとらわれていません。いわゆる現代詩であり伝統的な文学のスタイルとは異なります。

文法:詩の文法には、動詞の現在分詞、動名詞、および過去分詞が多く使用されています。また語彙や表現を通じて、感情や思考の内面的な側面を探求しています。

詩のテーマ:物理的な風景やシチュエーション、そして人間関係についての観察が含まれています。人生の複雑さや不確実性、そして人間の欲求や心理的状態に焦点を当てています。

Translation|詩の翻訳

『カクテルとオルペウス』

日が暮れて
バーは女達でいっぱいだった
裸のジュネーブが窓の向こうに見える
離婚したての銃持ち女
ああ、ジュネーブ、あなたは今どこにいるんだろう
オルペウスは彼女が消えたわけではなく
残忍な光の中で灰に変わったわけでもなく
良い仕事を見つけ、良いお金を稼ぎ
自分自身の保険と家を持ち、真っ当な妻であったと言う
「まとも」は「まっとう」という言葉のなかで暮らしている

バーの騒音は一種の静けさを作り出す
オルペウスからサングラスを受け取ると
私は炎がすべてを変えるのを見た
スカートが腰までまくし上げられた女性の後ろに立って
触れることが許されるくらいに縛られて
塩入ミルク、甘いミルク、動物性ミルク
この名前を生み出した液体になったとしても
私を忘れないでと心の中で思っていた

身体は人間になりたいけど
引き抜かれ、正しく解放された嘆願の一部にもなりたい
でも私はただの黒い傷で残りものだ

今回の詩の翻訳も、すごく難しかったです。脈絡のない断片的なイメージが連なっているように思えるので、正しいのか正しくないのかも僕の英語力では判断つきません。

「I know descent lives in the word decent」の箇所は僕の詩作にも使える部分だと思いました。韻を踏みながら言葉遊びも含まれているのだと考えられます。

僕は英語の専門家ではありません。翻訳家でもありません。英単語、英文解釈に誤訳があると思いますがご了承ください。あくまで私なりの解釈で単語、詩の翻訳をしています。

「私なら、こういう風に訳すのに」そんな感想を持って詩と英語に取組んでもらえたら嬉しいです。

参考記事:『詩のトリセツ』感想。詩を読むコツと書くコツがわかるようになる。

覚えておきたいフレーズ「I am behind you」の意味は?

ビジネスあるいは日々のコミュニケーションにおいて覚えておきたいフレーズ、役立ちそうなフレーズをピックアップしています。今回の詩からは「I am behind you」を取り上げました。(※詩中ではI am behind women~となっていますが便宜上「I am behind you」として取り上げました)

「I am behind you」は、英語で「私はあなたの後ろにいます」「私はあなたについてきています」という意味のフレーズです。このフレーズは文字通りの意味から転じて支持や協力の意志を示す場面でも使われることがあります。

I’m right behind you, so don’t worry.”

「私はすぐ後ろにいるから、心配しないで。」

“She decided to start her own business, and I’m fully behind her choice.

「彼女は自分のビジネスを始めることを決めました。私は彼女の選択を完全に支持しています

このフレーズは位置的な意味だけでなく、人間関係や支援の意志を表現する際にも使われる表現です。

難解な単語

僕自身の経験ではあまり耳にしたことがない単語ですが、詩を理解する上では必要な単語をリストアップしています。今回の詩の単語は本当に難しいです。

perish: 死ぬ、滅びる
ash: 灰
descent: 「堕落」という意味ではなく「きちんとした、正しい」という意味。
Orpheus: ギリシャ神話のオルフェウス。彼は音楽で動物たちを魅了し、妻エウリュディケを冥界から連れ戻すために旅をする物語。
salt-milk, milk-sweet: 比喩的表現。直訳すると「塩入りミルク」「甘いミルク」
uprooted: 「根こそぎにされた、打ち砕かれた」という意味合いかと予測されます。
black wound: 比喩的表現。直訳すると「黒い傷」。ここでは深い傷や痛みを意味しています。

The end|詩と英語学習

さて実は詩と英語学習、特にシャドーイングとはとても相性が良いのです。ここでシャドーイング未経験者に説明をさせて頂きますと、シャドーイングとは英語の音声を聞きながら、すぐ後を音声の真似をしながら復唱していく勉強方法です。聞こえてくる音声の後を影のようについていくところからシャドーイング(shadowing)と呼ばれています。負荷は高く難易度は高い学習方法ですが、正しく実践すれば得られる効果もまた大きいとされています。

そんな英語学習方法の1つであるシャドーイングと英語の詩の相性が良い理由は以下の通りです。

単語が覚えやすい

英詩はとくに韻を大事にします。似たような発音の単語をまとめて覚えることができます。また日常生活の中で使用する単語を学ぶことができます。

発音の強弱、イントネーションが学べる

英詩で最も重要なのはリズムとされています。 そしてそのリズムを形成するのが発音の弱強やイントネーションです。音声を繰り返し聞きシャドーイングを行うことによって発音やイントネーションが身につきます。

無料で聞くことができる

以下の英語サイトでは英詩の音声ファイルを聞くことができます。
(※すべての詩ではありません)

Poetry Foundation
lyrikline

英詩で日常では言葉にすることが難しい思いや人生の教訓、言葉の表現の豊かさを味わい、同時に英語のシャドーイングをしてスピーキング力や発音も身につける。本記事がそんな最高に効率の良い勉強方法に役立てられたなら幸いです。

▶シャドーイングは正しく実践しないと得られる効果は小さくなってしまいますので、正しい実践方法にいつきましては下記の記事を参考にしてください。
シャドーイング初心者が実践している学習方法と効果や感想について。

▶また当ブログでは海外詩人のTEDでのスピーチを集めた記事があります。
詩人は何を語るのか?海外の詩人を知ろう!おすすめスピーチ3選!